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塗料の乾燥乾燥メカニズム(塗料の乾燥機構)ついて、説明いたします。塗料が乾燥するとき、どのような反応が起こっているのか。それが、塗料の乾燥メカニズムのお話です。
塗料の乾燥メカニズムは、乾燥機構としてまとめられています。融着乾燥や重合乾燥などなど、乾燥機構は種類も多く、また用語もとっつきにくく、理解が難しいところです。
このように、乾燥機構の種類は多いですが、大切なことは、シンプルです。それは、乾燥機構は、ただ乾燥することによるものと、乾燥しながら化学反応を起こるものとに大別することができるということ。そして、化学反応を起こしながら乾燥する塗料の方が、丈夫な塗膜を形成するということです。
具体的には、「重合」「酸化重合」「反応硬化形」などを謳った商品は、化学反応を伴う乾燥をするため、丈夫な塗膜を形成します。「重合」や「反応」という言葉がつくかどうかで、大体は見分けることができます。
化学反応を伴わない乾燥で代表的なものが、融着乾燥といわれるものです。塗料とは、シンナーや水に、樹脂成分・顔料が浮遊しているものです。融着乾燥とは、このシンナーや水が揮発していくことで、樹脂成分・顔料が被塗装面に取り残されることにより、塗膜を形成するものです。
この結合の仕方は融着と呼ばれます。融着は、樹脂の分子レベルでの結合にはいたらないため、弱い結合になります。そのため、溶剤(シンナー)をつけて擦ると、溶けてしまいます。融着を利用した塗料の代表的なものはアクリルエマルションペイント(AEP)となります。このペイントは、室内を塗装する際などによく利用されているものです。
熱重合乾燥、酸化重合乾燥、反応硬化などは、乾燥の過程において化学反応を伴います。
まず、熱重合乾燥とは熱を加えられることで化学反応が起こるもので、工場で行われる焼付塗装などがこれにあたります。酸化重合乾燥とは、シンナー・水が揮発する過程で、樹脂が酸素に触れることとなり、この酸素との化学反応によって、硬化していくものです。
そして、重合乾燥とは現地で塗装する際に、2つの液体を混ぜ合わせることにより化学反応を起こすもの。シンナー・水が蒸発する過程で、この2液体が混ざることによる化学反応が促進され、強固に硬化するものです。従来のウレタン樹脂系の塗料は、この重合乾燥を伴うものであり、ウレタン樹脂塗料といえば現地で2液体を混合して作業することが通常でした。
そして、重合乾燥のように、「現地での2液の混合は面倒である、1つの液体の中に反応し合う2成分を混ぜておき、シンナー・水が蒸発するに伴って、それらの2成分が反応するようにできないか」という発想を突き詰めて生まれてきたのが、反応硬化形の名前が冠されている塗料です。
乾燥過程で化学反応を起こすことで、強固な塗膜ができます。そのために従来は、2つの液体を現地で混ぜ、反応が起こるようにしておいてから、すみやかに塗装するといった方法がとられました。この方法は今日も一般的ではあります。
しかし、今日では、最初から1つの塗料中に互いに反応し合う2成分が含まれており、乾燥がはじまると自動的に反応が起こっていくタイプの塗料製品(1液反応硬化型の塗料)のラインナップも充実してきました。
お客様が利用される多くの塗料は、重合乾燥する2液混合タイプの塗料、あるいは反応硬化するタイプの塗料となります。そのような塗料は、乾燥過程で化学反応が起こり、樹脂の分子同士が強固に結びつく性質の塗料だというわけです。