塗装現場にて2液を混ぜて塗装するタイプのものとは異なり、1液のみの塗料をそのまま被塗装面に塗布することで足りる塗料。それでいて、2液を混ぜることで起こすことができたのと同様の化学反応を起こすことができる塗料。それが、1液反応硬化形の塗料です。
ウレタン樹脂塗料などは、従来は2液を混ぜ合わせなければ、化学反応が起こらず、樹脂同士が分子レベルで結合した強固な塗膜を形成することもありませんでした。それが現在では、1つの液体を塗るだけで、2液混合と同様の化学反応を起こすことができ、また2液混合と比しても遜色のない強固な塗膜を形成することができるようになってきました。
従来、強固な結合を有する塗膜を作るためには、現地にて2つの液体を混ぜ、すみやかに塗装するという方法をとることが一般的でした。混ぜられた塗料のシンナー分・水分が蒸発する過程(乾燥する過程)で、化学反応が促進されるという仕組みであり、結果として樹脂の分子同士が強固に結合された強固な塗膜を形成することができました。
上記1.のような2液を現地で混合する方法は、現在でも一般的に行われる方法ではあります。しかし、今日では現地で2液混合することの手間、混合したらすぐに使い切らねばならずに廃材が出やすい(調合してから使用できるまでの時間(ポットライフ)が限られており、ポットライフを過ぎてしまうと廃棄するしかない)という欠点を克服するため、1液のみで化学反応を起こせないものかという研究が各メーカーにより、こぞって進められてきました。
そして、2002年に日本ペイントが1液反応硬化形のウレタン樹脂塗料「1液ファインウレタンU100」という商品を上市。それまでは、ウレタン樹脂塗料は必ず2液混合のうえ塗装しなければならなかったので、この発明は画期的なことでした。
それから10年という時間が経ち、現在では1液反応硬化形の商品ラインナップも大変充実しています。