建築塗装で用いられる塗料について、解説します。
塗料の構成要素は、左表の示すように4つです。重要なのは顔料と、塗膜の主成分となる樹脂です。
顔料は主として、色彩を施す役割があります。顔料を含まない塗料もあり、これはクリヤーと呼ばれています。
透明な塗料により被塗装面を保護するもので、ニスなどをイメージしてください。
まず、1つ目の顔料とは、塗膜に色彩を施すために用いられる粉のこと。色彩を施す以外の顔料もあるのですが、その説明については顔料のページを参考にしてください。
2つ目の樹脂とは、硬化して塗膜の主成分となるもの。アクリルからフッ素までの塗料のグレードを決するのは、この樹脂成分が何であるかによります。それぞれの樹脂の特徴については、塗料の種類や各樹脂の特徴を説明したページを参考にしてください。
3つ目の添加剤とは、カビを抑えるなど特殊な機能を持った薬品のことです。添加剤について詳しく知りたいという方は、添加剤のページを参考にしてください。
最後に、4つ目の溶剤です。被塗装面に樹脂の膜を形成することが、塗装の目的です。しかし、樹脂だけですと塗装することができません。そこで、水や溶剤(シンナー)というものに樹脂を溶かし、水や溶剤がゆっくりと蒸発することで、被塗装面に残った樹脂が硬化・密着するという仕組みになっているのです。溶剤についても、溶剤に詳しく解説したので、そちらをご覧ください。
展色材とは、ヒビクルとは、何でしょう。「塗料=顔料+樹脂+添加剤+溶剤」と上述しましたが、この式より「顔料」を省いた部分が展色材です。「展色材(樹脂+添加剤+溶剤)」とは、「色(顔料)」が展開するための舞台です。
この概念がなぜ大切なのかというと、「塗料=顔料+展色材」と表現した方が、式が簡単になるからです。DIY(日曜大工)等でお子様とペンキを塗ったりする際には、樹脂・添加剤・溶剤などの概念は難しいですから、このような簡易的な説明に留めた方が良いかもしれません。
ここで、さっそく、展色材という概念を利用して説明いたします。「塗料=顔料+展色材」でした。この式で「顔料」がないものが、クリヤーと呼ばれているものです。クリヤー塗膜は、透明な樹脂塗膜です。透明であっても、樹脂による保護の役割を果たします。また、色彩はないものの、被塗装面に樹脂特有の艶(ツヤ)・光沢を付与することができます。
一方で、「塗料=顔料+展色材」の式のままのもの。すなわち、「顔料」が入っているものは、エナメルと呼ばれております。一般的なペンキは、こちらのエナメルと呼ばれているものです。